慢性疾患

変形性膝関節症

症状・原因・疫学

 最も頻度の高い疾患で、70代以降の女性の方に圧倒的に多く、私どもの医院でも多数の患者さんがおられます。レントゲン的にⅠ度(初期)からⅣ度(末期)まで分類され、Ⅳ度になると内反膝変形が目立ってきます。日本人の女性の多くはO脚の傾向があり、重心線が内側に偏っているので、膝の内側が変形していきます。

 階段昇降(特に降り)、立ち上がり、朝など動作の開始時などに痛むのが特徴です(図1)。

変形性膝関節症_01

(図1)

 加齢や筋力低下、使いすぎや外傷も原因となります。膝の内側の軟骨が削れて、デブリと呼ばれる微小な磨耗紛が生じ、このため炎症が起きます。炎症が強いと水が溜まり、曲がりが悪くなることもあります。レントゲンで内側関節軟骨が狭くなったり、骨棘が出現したりします(図2・3)。

(図2)

膝関節_正常

正常

膝関節_変形

変形性膝関節症

変形性関節症_02

(図3)クリックで拡大

 立位で撮影すると変形が明らかになる

治療

 消炎鎮痛剤(最近のいわゆる痛み止めは非常に優秀で、有効性、安全性ともに信頼できます。)や外用薬(湿布や塗り薬)。リハビリ(物理療法やマッサージ、ストレッチ、筋力強化など)。

 最も有効と考えているのはヒアルロン酸などの関節注射で、多くは痛みがとれ、曲がりが良くなり、進行予防にもなります。

 私は人工関節手術は最後の手段(サルベージ)と考えていて、基本的にお薦めしていません。何故なら麻酔のリスク、術後成績がややまちまちと思えるからです。大筋で保存療法の方が勝ると考えています。

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