慢性疾患

腰椎椎間関節症

症状・病態

 腰痛の原因として最も多い状況で、特に成人の腰痛は大部分が椎間関節由来であると考えているほどありふれた病態です。変形性脊椎症や椎間板症などでも、実際は椎間板よりも椎間関節の方が痛みを出している可能性が高いと推定しています。

 椎骨(いわゆる背骨)は24個存在し、後ろ側の継ぎ手は椎間関節という左右対をなす小関節で構築されています(図1)。重量物挙上、後屈などの動作では椎間関節に大きな力がかかります。従って、ぎっくり腰の原因としても椎間関節症が大勢を占めていると推定しています。

 加齢や過度の負担による関節軟骨の変性、骨棘の形成、デブリ(磨耗軟骨片)の生成などが炎症を起こし、痛みを生じます。

 痛みの部位はウエスト周辺の通常の腰痛の場合もあるし、関連痛として臀部にまで痛みが及ぶこともあります(図2)。この臀部周辺の関連痛が大きな特徴です。

(図1)

腰椎椎間関節症_01

   <前から>   <横から>  <後ろから>
1:第1腰椎(L1) 2:第2腰椎(L2) 3:第3腰椎(L3)
4:第4腰椎(L4) 5:第5腰椎(L5) 6:仙骨

(図2)

腰椎間関節症_02

治療

 消炎鎮痛剤や外用薬、理学療法やコルセットなど通常の治療に加え、椎間関節ブロック(ステロイドと局麻剤を混注します。)が有力です。稀にブロックの後に脚がしびれることがありますが、安静にしていれば一時間ほどで回復します。

 無駄な痛みですので早めに除去したいものです。もともと痛みとは危険信号の筈ですから、そうでない痛みは害があります。

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